建築やランドスケープ、アートについては書物で調べたり時間がゆるせば現地に訪れて、見たり触れたりしているのですがそれに比べるとプロダクトや家具については知識がたりないと感じています。家具やプロダクトは日常の生活で使うものです。それらのデザインは見た目の美しさやコンセプトの面白さだけでなく、実際に使用し生活に新たな変化が起こるような体験をしてはじめてデザインの本質が理解できるものだと思います(それは建築やランドスケープも同じですが)。そのため購入してしばらく使ってみないとわからないのです。つまり、お財布との相談になります・・・。
そんな中、お気に入りのものが見つかりました「柳宗理さんのティースプーン」です。 一般の方にも有名なカトラリーです、評判も良いのでここであらためて詳細を書くことはしませんが、自宅でなんとなく使っていて気がついたらすごく気に入ってしまいつねに使うようになってしまったので少し書きます。 ・18-8ステンレスのつや消し仕上げが美しい。水滴の後や指紋等がつきにくい。 ・軽いが手から離れない適度な重さ。 ・厚みが部位ごとに異なる繊細な断面、自然と手になじみます。 ・温かみがありどこかなつかしいような形状、口に入れた時もなめらかで心地良いです。 このかたちをつくりだすまでに、多くのスタディを行い、原寸モデルを何度もつくり検証していったことが想像できます。また、完成した案を職人が製作する際にも多くの議論と試行錯誤がおこなわれたことが想像できます。それらを乗り越えて生まれたかたちは機能的で美しく洗練されています。このデザインに対する姿勢は、建築を設計する作業にも通じると思います。 本来の用途とは違うかもしれませんが、このスプーンでトウフにポン酢をかけて食べるのが好きです。四角くて表面がなめらかなすこし暖色の白い塊のトウフに、角がない絶妙なカーブのこのスプーンを入れ、スプーンですくった後の窪みにポン酢をかけて黒い円形の模様をつくると、彫刻のようなランドスケープに見えてきてとてもデザイン的です。 体の栄養補給と同時に目からも栄養補給という感じです。
by liquid_architects
| 2009-03-19 15:47
| shiro kobayashi
|
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