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2009年 03月 05日 ( 2 )
「越後妻有アートトリエンナーレ2000」回想 その1
ホームページに「Scaping Objects」をアップしました。
過去に時間をかけて考えたことは、今現在、物事を考える際の礎になっていると思いますので当時をふりかえり頭の中を整理してみます。まずこのアート作品が制作された経緯は以下です。

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・「越後妻有アートトリエンナーレ2000」公募作家に選出される
10年前(まだ建築学科の大学院生でした)「越後妻有アートトリエンナーレ2000」の公募作家に応募し書類審査、公開プレゼン審査を経て公募作家に選出されました。公募作家はトリエンナーレ会期中に作品を実際に制作し発表するのですが私が提案した案は実現するには多くの問題を抱えていました。それは会期中に作品の設置や回収というパフォーマンスが必要なためパフォーマーが必要なことや、技術的にどう制作するか、制作費をどのように捻出するか、現地での滞在場所はどうするか等の問題であり、大規模なアート作品を制作したことのない私にとって難問ばかりでした。
そこで当時、同じ渡辺真理研究室に所属していた信頼できる友人達に公開審査直前に協力をもとめ計6人でLUXというグループを結成し制作を行う体制を整えました。試行錯誤しましたがほぼ原案通りに実現することができ公募作家の中から選考されるグランプリを受賞することができました。

建築学生はどうしてもアイデアが机上で完結してしまいます。明快に趣旨を説明することや模型を制作する訓練はするのですが、個人として責任をもち実社会と直接向き合う機会は少なく、またある規模のものを実際に制作する機会もほとんどもつことができません。また世の中にないものを制作するには協力者を募り協議しつづけることが必要で、強い信念と労力がもとめられます。実際に実務で建築が竣工するまでには当然のようにもとめられるこれらの作業を、学生のうちに経験できたことはとても貴重でした。
(回想 その2へ続く 後日)
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by liquid_architects | 2009-03-05 15:37 | shiro kobayashi
「ミッソーニ表参道店」について
先日ミッソーニ表参道店を友人が見に行ってくれたのですが、「天井が壊れていますよ!」とショップスタッフの方に言ったそう(多分冗談交じりだったとは思いますが・・・)です。ショップスタッフの方は「そういうデザインなんです。」と丁寧に対応してくれたそうですが、ここでは友人への説明も兼ねてデザインコンセプトについて書こうと思います。

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国内はもとよりアジア圏を含めたエリアの旗艦店として、「ミッソーニ」の世界観を体現する新たなストア環境をコンセプトに据えた「ミッソーニ表参道」が10/7にリニューアルオープンしました。「我が家にお招きするような温かいお店創り」をコンセプトに細部のディテールに至るまで、クリエイティブディレクターのアンジェラ・ミッソーニの持つ世界観を反映させて、設計を行いました。

素材やカラー、パターンを追求したブランドのコンセプトをさらに色濃く演出するため、シンプルな空間としながらも、人に何らかのインプレッションを与えてくれる体験的なエッセンスを持ちえたデザインにより、空間と商品をつなぎ合わせることで創り出される新たな形を模索しました。床や壁・天井の色やフォルムの美しさということではなく、マテリアル、形態は主張せずとも、空間と商品による相乗効果から導き出されるストア全体のイメージはより強いものとなり、空間は商品の背景となり、「ミッソーニ」の世界観のみが広がる空間を創り出すことができます。

ビル躯体による天井高が低いデメリットを少しでも改善するため、ミッソーニ社のコーポレートカラーであるブラウンとホワイトを基調とした穏やかな色遣いとし、壁や什器のコーナーに丸みを付け、天井に間接照明を効果的に設けることで、圧迫感を軽減した広がりのある空間としました。間接照明によるやわらかな光に溢れ、人の心にすっと入り込むようなニットのようにやわらかくて、ゆるやかで感覚的な感じは、ゆったりとした時間の流れる心地よい空間を演出します。マテリアルはそれらライティングの効果を生かし、光の反射や陰影によって多彩な表情を見せてくれるようなディテールとなっています。あくまで商品の背景となるように細心の注意を払いながらも、商品を伝える増幅装置となるようなものとしました。床材は、金属粉を主体とした左官仕上とし、目地のないシームレスな床を創り出すと共に、素材そのものの持つ色彩でミッソーニ社のコーポレートカラーのブラウンを表現しながら、磨かれた部分は金色に輝くラグジュアリーなものとしました。壁材は、白の塗装を微妙に使い分け、空間のゾーニングを明確化させながらも、幾何学模様のパターンが光によって浮かんで見えたりと、床材同様ブランドのアイデンティティーをさりげなく印象付けています。それらマテリアルによって生み出される空間は、自然にコレクションを見て回る楽しさを助長させ、回遊性を生み出します。

表参道と店内を繋ぐ立体的なエントランスホールと店内の天井傾斜パネルは、道行く人に異なる視点を与えます。表参道という高級ブティックが建ち並ぶなかで、多角的な視点を持たせることは、逆にブランドの存在感を十分に表現できることとなり、新しい「ミッソーニ」のブランドイメージを体現する店舗が実現されることになったと思います。

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「天井が壊れている!」意味が分かってもらえたかと思います。特にこの店の床レベルは坂になっている表参道より1mほど高くなっています。そのため、道行く人の視点は天井が多くを占める訳ですから、天井高が低い問題と併せて、天井のデザインが必要となった訳です。気持ちよい空間なので、入るのは少し勇気がいるかもしれませんが、ぜひ行ってみてください。
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by liquid_architects | 2009-03-05 14:26 | hiroki matsuura



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